失礼男の攻略法

「西田と申します」
あくまでクライアントだ、と自分に言い聞かせながら仕事モードの仮面を張り付けて返すと、私と目も合わせずに、後ろに視線を向けて

「なぁ、田尻。俺、使えないやつと仕事したくないんだけど。男できないのを人のせいにするような甘ちゃんに、仕事なんかできんのか？」

生きてきた中で最上級にムカつくような暴言を吐かれた。

絶句していると

「まぁ、そんなこと言うなよ。千秋先生は今回の件では、うちの事務所内で直近の案件扱ってるエキスパートだよ。他がいいなら化石みたいな老先生連れてくるけど？」

あくまで穏やかに話している田尻先生。こんな失礼男と仲良さそうなのが信じられないな、と思いながら2人を交互に見ていると

「お前がそういうなら様子はみるけど、俺が出来ないって判断したら、その時はすぐ替えてくれ」

渋々ながらも受け入れた失礼男。