失礼男の攻略法

なんで、ここに居るの?

視線を向けると、お兄ちゃんが

「真人さん、ほんとにこんなヤツだけど、いいんですか?」

なんて言っている。

なんで?

訳がわからずに、お兄ちゃんと、なぜかここにいる失礼男の顔を交互に見ていると

「とにかく千秋も座りなさい」

パパに促されてしまった。

荷物を置いてパパの隣に座ると、お兄ちゃんがいつものように水割りをつくって手渡してくれた。ありがとう、と受け取ったはいいけど、うまくこの状況が飲み込めない。

この部屋って存在自体知られていなくって、今まで家族以外で入った人を知らない。お兄ちゃんの彼女とかですら入れたことがない。


だからこそ、なぜこの人がここでパパとお兄ちゃんと談笑しながらお酒を飲んでいるのかが、わからない。

すると、ようやく口を開いてくれたのはパパで。

「真人くん、先月フランクフルトまで来てくれたんだよ」

だけど、全く意味がわからなくって。

「はい?」

言いながら失礼男の顔をみても、目を合わせてくれない。
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