失礼男の攻略法
興奮している私を落ち着かせるようにパパは背中をポンポンとしてくれているけど、落ち着くわけなんてない。
そして、こんな混乱を巻き起こしている本人はというと、しれっとした顔でウイスキーをなめるように味わっている。
その姿もかっこいいんだけど、なんなんだ?
私のことなのに、なんで全く私の知らないところで話をされているのかが、よくわからない。
しかも、嫁に欲しいって何?
新たな嫌がらせかなにか?
怪訝に思っていると
「真人くん、わざわざアポもないのにフランクフルトまで来てくれて、 何日も通ってくれたんだよ。責任ある仕事もあって、忙しいだろうに。そこまでお前のことを考えてくれてるのかと思うと、感動してね」
パパが口を開いた。
何日も?
社長なのに?
なんで?
色んな疑問が頭に浮かんだけど、すぐにお兄ちゃんが話し始めたことで打ち消されてしまった。