失礼男の攻略法

そうして手を引かれるまま入った見慣れた私の部屋で爆発したように疑問を一気に吐き出した。

「どういうことですか?嫁って?パパに会いにいったってホントなんですか?仕事は?大丈夫だったんですか?え、むしろ私ってそういう対象にさえ見てもらってませんでしたよね?
しかも私の意思って完全無視なんですか?なんで?どういうこと?」

まくしたてるように、思いつくまましゃべると

「ちょっと落ち着け」

ギュッと抱きしめられてしまった。

はじめて感じる私より高い体温が心地よくって、大きく息をすって思わず目をつむってしまうと

「落ち着いた?」

ふっと笑われた。いや、笑うとこじゃないよねってさっきまでの興奮がよみがえってきたけど

「なぁ、俺の嫁になるのはイヤ?」

腕の中に閉じ込められたまま、耳元でそんなことを言われたら、もう他のことなんて考えられなくなる。頭が真っ白になりながらも、首を横にフルフルと振ると

「嫁になってくれるってこと?」

念押しをされてしまう。
< 213 / 225 >

この作品をシェア

pagetop