失礼男の攻略法

いきなりのスキンシップにドキドキしていると、ようやく話しはじめてくれた。

「俺の場合、恋愛って特に優先順位って高くなくって、人間としてその人に興味を持つかっていうのが最初なんだ」

思っていたような話と違ってびっくりしたけど、とにかく口を挟まずに聞いてみようと思う。

「だから仕事で千秋に会った時から、千秋は俺の興味対象だった。面白いやつだなって思ってて、だから会社も誘ったんだけど、その時のお前の返しにやられたんだよ。“必要か見極めろ”ってやつに。そんなこと言われたことなんてなかったし、こいつはホントに自分自身で勝負してんだなって思うとすげーなって思ってさ」

そこでふっと何かを思い出すように笑っているけど、その笑みも優しくって、あんなに求めていたものが近くにあることが、本当に奇跡だなって思える。

だから勇気をだして、横にあった手にそっと手を伸ばしてみると、ギュッと握ってくれた。嬉しくって失礼男の顔を見上げると

「かわいいな」

ってオデコに唇を寄せられて、びっくりしてしまう。

なに、今の。

この甘い感じ、何ですか。

さっきまでとは違ったドキドキを味わっていると、でさって話が続いた。
< 217 / 225 >

この作品をシェア

pagetop