失礼男の攻略法

今日何時に会うんだ、から始まって、場所は絶対ラウンジにしろってしつこく言って来た時点で、きっと来るつもりなんだろうな、とは思ってたけど、こんな登場の仕方は予想外だ。

「あ、あの。先ほどお話しした波木さんです」

取りあえず紹介をすると、私も見たことのないような極上の笑みを浮かべて

「どうも、波木真人です」

握手を求めるように手を差し出している。やっぱり、この人絵になるなって眺めていると

「里中直樹です」

直樹さんも立ち上がって握手を交わした。どういう話の流れになるのか緊張していると

「里中さん、ありがとうございます。こうやって、千秋を手に入れれたの、あなたのお陰ですよ」

全く緊張感のない声が聞こえてきて、ちょっとだけげんなりする。その話し方、絶対直樹さん刺激するだけだからね。すると案の定、直樹さんは不機嫌さを隠そうともせず

「まさか、こんなダークホースがいるとは思いませんでしたよ。いきなり結婚って、どういう魂胆なんですか?」

ケンカ腰だ。
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