失礼男の攻略法

「あなたと違って魂胆なんて、ないですよ。いきないっていうのも、そのままお言葉返したいくらいですし」

失礼男の本領を発揮している隣の男を見ると、ニヤリと悪い笑みを浮かべている。

「そもそも責任だなんて適当なこといって、千秋脅したようなもんじゃないですか。まぁ、その割にはツメが甘くて助かりましたけど」

「脅した?ただの、ギブアンドテイクですよ。ツメが甘いなんて言われたくないですね。まぁ、あなたみたいな男がいるってわかってたら、帰国してからなんて言わずに一気に話まとめちゃいましたけどね」

失礼男の挑発にはのらず、だけど嫌悪感いっぱいの様子で言い返している直樹さんからはいつもの余裕は感じられない。

「うん、油断してくれて助かりました」

ニッコリ笑うその顔は嫌味でしかないよ、心の中でツッコミをいれながらもただ見守ることしかできずにいると

「で、千秋ちゃんは本気なの?こんな腹黒そうなのと結婚して事務所もやめるって、正気じゃないでしょ」

直樹さんに突然矛先を向けられた。
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