失礼男の攻略法
一応、今日の対応は及第点をもらえたってことか・・・。
でも、次の提案もってこいって、どんだけ俺様なんだよ、とやっぱり思ってしまう。こういう扱いを受けたのも久々、いや初めてかもしれない。弁護士という職業柄、クライアントの企業からもたいていは丁重に扱われることの方が多いから。
そんな私の考えもやっぱりお見通しなようで
「千秋先生にもいい刺激になるでしょ」
穏やかな眼差しの田尻先生。頷きながら、疑問に思ったことを聞いてみた。
「田尻先生は、あの方とお親しいんですね」
「中・高の同級生なんだ。だから、隆太郎君とも一緒にラウンジで飲んだりしてるよ」
「そうだったんですね」
無難に返事をしながら、納得する。だから、お兄ちゃんも親し気だったんだ。
うちの兄と田尻先生は学年こそ全然違うものの、同じ名門男子校出身。初対面でお互いの出身校を知った時に、このビルで働いているOBが結構いるという話になり、それ以来、世代を超えてOBを集めて、たまにラウンジで飲んでいるという話は兄からも聞いていた。
そこでつながりがあったらしい。