失礼男の攻略法
「えー、いいじゃん。裏路地の定食屋さん付き合ってよ。あそこだったら、美希ちゃんが好きなヘルシーなのもあるじゃん」
そう提案すると、渋々頷いてくれた。
そうして、やってきた定食屋さんで“ヘルシーランチ”と名のついた健康診断前のオジサンが食べるような食事をつついている美希ちゃんから説教されている。
「千秋先生はこうやって自ら出会いのチャンスをつぶしてるんですよ」
トロトロの卵でとじられたカツを口に含みながら、首をかしげていると
「だって、せっかくランチに出るのに、ここですよ、ここ!」
お箸で店内を指すので
「お行儀悪いよー」
と指摘しても
「そういう問題じゃないんです! B.C. square内で食べたら、ビル内で働くイケメンとの出会いとかあるかもしれないのに!」
熱弁は続いている。
「この前のたれ目王子ともダメだったんでしょ?そしたら、もうカフェでの出会いはなさそうだし。せっかく美人なんですから、もっと外に出ないともったいないですよ」