失礼男の攻略法

タレ目王子こと中西さんとのデートのことは、その日の私の服装を見た美希ちゃんに一発で見抜かれた。普段は仕事柄、落ち着いた色のかちっとしたスーツばかり来ている私が、いきなりふんわりワンピースで出勤したのだから美希ちゃんじゃなくっても、何かあるなと思っただろう。

「千秋先生、今日はどこの方とデートですか?」

朝一番に尋ねられた。

それで話してしまったせいで、翌朝一番に「どうでした?」と同じように聞かれて「ダメだった」と白状するしかなかったのだ。

美希ちゃんの熱弁に相槌をうちながら、かつ丼を楽しんでいると

「聞いてます!?」とご立腹の美希ちゃん。

「聞いてるよ~」飲み込んでから、そう言うと

「ほんと、私が千秋先生の素材もってたら、もっとうまいこと活用して玉の輿狙うのに。あ、でも身長は私のままでいいですけど」

嫌味を挟み込むところみると、まだ怒っていらっしゃる。

私のコンプレックスである、顔に合わない平均以下の身長を引き合いにだすなんて意地が悪い。
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