失礼男の攻略法

私と同じ年だけど後輩にあたる弁護士が結婚する、という話からとばっちりを受けたのだ。

「千秋先生はそういうお話ないんですか?」

いつもはそんな話を振ってこないくせに、お酒が入った勢いと幸せボケのせいで踏み込んでくる後輩くん。

「ない、ない。私はまだまだ仕事と自分で精一杯ですよ」

当たり障りなく答えていると

「それはいいことを聞いた」

横にいた所長がいきなり話に入ってきたのだ。

「ご存知だと思うんですが、うちの甥っ子がアメリカにいったきりでして。そろそろ、こっちに帰って来て落ち着いて欲しいなって思ってるんですよ。一度、帰国した時にでも会ってやってはもらえないでしょうか」

遠回しに所長が言いたいことは伝わってきたものの、こういう話ははぐらかすのが一番。
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