失礼男の攻略法
「それはご心配ですよね。でも、きっとあちらでご活躍だから帰国されるタイミングもなかなかないんじゃないですか」
「それならいんですが。2年前に一度帰ったきりですよ」
「甥っ子さんも企業法務がご専門でしたっけ?」
「ええ、アジア圏への海外進出なんかをやっているようなんですが・・・・」
まんまと私の策にはまって、甥っ子自慢がはじまった。
日本の企業法務の第一人者と言われる所長だけど、甥っ子のことになると話しは別で、ただの甥っ子バカ。
ご自身にお子さんがいない分、小さな頃からかわいがっていたらしいものの、自分と同じ弁護士になってからは、輪がかかったらしい。
とっても優秀な方で所長としては跡を継がせたいけど、一向に帰国する様子がないから、あっちで結婚して骨を埋めてしまうのでは、というのが一番の心配の種らしい。だから自分の手近にいる弁護士と結婚してくれれば事務所は安泰、くらいの感覚なんだろう。
そう考えると私って、ほんとに条件的なものでしか評価されないんだろうなって思ってしまう。