失礼男の攻略法
「小さい頃から良くも悪くも“山岸の娘”って言われて育ったの。だから、それと関係ない世界で生きたいと思って、弁護士目指した。そういう意味ではお医者さんでもよかったんだけど、血とか苦手で。だから最低だけど元々、弁護士としての立派な志なんてなくって。
でも気付いたら、小さい頃から大嫌いだって思ってた人たちの側に自分がいるのに気づいて愕然としちゃってさ。そういう人たちを正したいって思うけど、全然力不足で・・・」
そこまで話して、ちらっと失礼男をに目を向けると、相槌を打つわけでもなく、ただじっと聞きながらお酒を飲んでいる。
それを視界にいれながら、今日のメタボ役員と頭の薄い腰ぎんちゃくを思い出して苦々しい気持ちが再度込み上げてきた。
「自分の利益でしか人を判断しない、駒としてしかみない、そんなのは間違ってるってわかってほしいのに・・・」
グッとグラスを煽ると、強いアルコールの刺激が襲ってくる。その刺激が今の私にはぴったりで、もう一度口につけていると
「同じのでいいの?」
柔らかな言葉が降ってきた。