失礼男の攻略法

失礼男の声色が、思いの外優しくって思わず頷くと、自分の分も合わせてオーダーしてくれる。そして運ばれてきたグラスに口を付けたところで、失礼男は口を開いた。

「妹ちゃんは、妹ちゃんなりの正義があって、戦ってんだろ?それで充分じゃん。誰に何言われたか知らないけどさ、“価値“なんて人に決められるようなもんじゃないでしょ」

あっさりとそういう失礼男は、当たり前のことを口にしてるだけといった口ぶりで、私を無駄に励まそうとかそういうニュアンスは伝わってこなかった。

それが無性に心地よくって、つい余計なことまで口走ってしまう。

「でも、しょせんは“山岸の娘”って価値にはかなわないんですよ。この前も事務所の所長に、YGの後ろ盾欲しさに、甥っ子さんとの縁談仕組まれちゃって。職場では私自身を評価してくれてるって思ってたから、ショックがおっきくって」

言いながら自分でも結構なショックを受けていたんだって、わかった。

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