不知火の姫
01* かっこかり
父親の事は知らない。
母親は私を産んで死んだ。
あまり居心地の良くない児童養護施設で過ごした日々は、私に大切な事を教えてくれた。
――――人を簡単に信じてはいけない。
小さくて馬鹿だった私は、大人や同じ施設の子供たちに何度も騙され、何度も裏切られ。
心を閉ざす事を学んだ。
感情を殺す事を覚えた。
そして私は、いつも独り……
でも、誰かを信じて裏切られるくらいなら、誰も信じず独りでいた方がいい。
ずっとそう思っていた。
葉月に逢うまでは………………
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