不知火の姫
「そうだよ! 鈴はいじめなんてしない! いじめられてどんな気持ちになるか、一番知ってるのは鈴だもん!」
志貴も続いて声を上げてくれた。
二人の言葉に、ざわざわしていた空気が変わり始める。それは、みんなが私を信じてくれたざわめきだった。
初めて……
初めて、人を信じて良かったって思った。
でも、どうして愛澄ちゃんは、こんな嘘をついたんだろう。
それだけが分からなかった。
「――――ふふふふふ……」
何処からか、笑い声が聞こえた。
それは段々大きくなって、最後には――――
「あははははは!」
声の方を見ると、今まで泣いていたはずの愛澄ちゃんが、お腹を抱えて笑っていた。
その異様な様子に、みんな驚き固まる。
「あー面白い! あんたたち最高に面白いわ!」
愛澄ちゃん……いつもと全然違う…………
いつも女の子らしくて、ふわふわしてて可愛いのに。今はまるで別人みたいだった。