不知火の姫
「それほど遅くもなかったよ、昴くん」
――――昴さんだった。
愛澄ちゃんはすかさず昴さんの元へ。二人の後ろには、昴さんが隊長を務める第二特攻隊の人たちが揃っていた。
何なの、これ……
一体、何がどうなってるの……?
突然の事ばかりで、頭がついていけない。それは葉月もそうみたいだった。
「……昴、一体どういうつもりだ」
「どういうって、見ての通りだ。謎の襲撃の正体は、俺だったって事だ」
ファントムの店中の人たちがざわめく。当たり前だ。仲間だと思っていた者が、仲間を襲撃した。
それは裏切りを意味する。
「最近の優等生ぶった、ぬるま湯みたいな不知火には、うんざりしてたんだ。もっと派手に暴れてえって」
昴さんはぐるりと辺りを見回した。
「俺たちは、もっと自由に暴れてえ。そう考えてる奴、結構いるぜ? 知らなかったか、葉月?」
昴さんがそう言うと、光流さんの隣にいた一人がすっと動いた。