不知火の姫
「――――悪いな、葉月」
そう言いながら昴さんの隣に立ったのは、蓮さま。
まさか……
まさか蓮さまが…………?!
「蓮! お前……!」
「俺もそろそろ昔みたいに暴れたくなったんだ」
「蓮!」
「不知火の副総長の座は、降りるぜ」
蓮さまは葉月の呼ぶ声を無視して、店の外へ出て行ってしまった。
「不知火の副総長と第二特攻隊は貰ってくぜ。それと葉月、これは――――宣戦布告だ。俺たちは、これから『鬼焔(きえん)』を名乗る。そして、この不知火をぶっ潰す!」
昴さんたちが店を出て行くまで、誰も動けなかった。誰も、話せない。静まり返った店内で、ただ立ち尽くす。
何が起こったのか理解するのには、少し時間が必要だった……
◇◇◇