不知火の姫


――――そしてとうとう、ファントムの凪さんに一喝されてしまった。


総長の葉月がそんな状態では、下の者はもっと動揺すると。

葉月は大丈夫だと言い張ったが、凪さんは納得しない。そして頭が冷えるまで、しばらくファントムへの出入りを禁じられてしまったのだ。


凪さんの言う事も分かるけど……

ファントムへの出入りまで禁じられ、葉月がもっと追い詰められてしまわないか。私は心配でならなかった。


どうしたら、私は葉月の力になれるんだろう。

何をしてあげたらいいんだろう。


自宅の部屋に閉じこもってしまった葉月。学園へ行く時以外は、ほとんど出て来ない。

ファントムでは志貴と光流さんが何とか取り仕切っているけれど、葉月のいない不知火はやっぱり元気がないような気がする。

思い切って蓮さまに電話を掛けてみた事もある。でも、番号を変えてしまったのか、繋がらなかった。




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