不知火の姫
「うふふ……図星みたいね」
美乃利さんは楽し気に笑う。
「……すみません」
「いいのよ、別に謝らなくて。母親が言うのもあれだけど、葉月カッコいいものね」
自分の恋心をずばり指摘されてしまい、ますます顔が熱くなる。
「そうだ、一つ良い事を教えてあげる」
でも突然、美乃利さんの口調が変わった。ついさっきまで、楽しそうで優しかったのに。
それはあの夜と同じ空気を感じた。
「あなたと葉月はね、兄妹なの」
――――え?
今、美乃利さんは何て言ったの?
信じられない言葉が聞こえた気がした。
呆然としていると、彼女は追い打ちをかけるように言った。
「本当よ? あなたと葉月は、血の繋がった兄妹なの」
「…………う、そ……」
「ああ、勿論あたしはあなたの母親じゃないけど。何て言うんだったかしら……そう、異母兄妹? あなたの母親は主人の浮気相手。だから、父親が同じなのよ」
体が、震える……
手にしているお盆の上の湯飲みが、カタカタと音を立てているのが聞こえる。