不知火の姫
湯飲みの割れた音で、ちよさんたちが驚いたのか来てくれたが、私は何を言われているのか分からなかった。

足元で片付けてくれているちよさんに、ぼんやりとしたまま声を掛けた。


「……湯飲み、割ってしまってすみません…………」

「大丈夫ですよ。お嬢様にはお怪我はありませんでしたか?」

「…………新しい湯飲み……買ってきます…………」


引き留めるちよさんの声を無視して、私は小鳥遊の家を飛び出した。















< 150 / 275 >

この作品をシェア

pagetop