不知火の姫





愛澄ちゃんが指定した『希望の丘公園』は、それほど大きくは無い公園。

遊具が少しあって、人工的に作った小さな丘がある、それだけの所。その丘が『希望の丘』っていうらしいけど、何が希望なのかは分からない。


私が到着すると、愛澄ちゃんはブランコに座っていた。他に鬼焔の人とかいないかと少し警戒したけど、約束通り彼女は一人でいるみたいだった。

愛澄ちゃんは私に気が付くと立ち上がり、笑顔で手を振った。


「――――鈴ちゃぁ~ん! こっちだよ~!」


私は彼女のいるブランコへ向かった。


「久しぶり~! 元気だった? あたしがいなくて、いじめられたりしてない?」

「……愛澄ちゃんが、いじめてたんでしょ」


『そうだっけ?』なんてわざとらしくとぼけると、愛澄ちゃんはふふふと笑う。そしてまた、ブランコに座った。


「鈴ちゃんも座れば?」


隣のブランコを進められたけど、私は首を横に振り立っていた。



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