不知火の姫
「――――ねえ、そろそろ起きなよ!」
大きな声と、大きく体を揺さぶられた感触で、目が覚めた。
ぼんやりとした視界に映ったのは、私を見下ろしている愛澄ちゃんの顔。
「あ、目が覚めたみたいだね。気分はどう?」
頭がクラクラする……
体を起こそうとしたが、身動きがとれない。
次第に鮮明になる意識。私は、両手を後ろに縛られて、床の上に転がされていた。
広い……ここは、倉庫…………?
入学してすぐに拉致された時の倉庫と同じような所だった。所々に朽ち果てた木材が積まれており、どうやら使われなくなった資材倉庫みたいだった。前と違うのは、今は大勢の人と愛澄ちゃん、それに昴さんがいる事。
ああ、そうか……私、愛澄ちゃんに…………
もっと警戒するべきだった。
「床の上で寝心地悪くてごめんね。ここ、倉庫だから仕方ないのよ。毛布敷いといたから、それで我慢してね」
確かに、愛澄ちゃんが言った通り体の下には毛布が敷かれていた。だけど否応無く感じる、その下のコンクリートの冷たさ。