いつの間にか、溺愛。
結局、その席のまま動かず時間は流れ……

いつの間にか新郎新婦も到着しており、もはやBarの中はどんちゃん騒ぎ。

私の唯一の友達、優香は逆ハーレム真っ只中。

帰りは大丈夫かしら?


「……シラフで楽しい?」

ふと目線をあげると真剣な表情をした彼がまじまじと私を見ている。

冷静に人間観察していたから楽しそうに見えなかったのかもしれない。

「こう見えて案外楽しんでますよ?人間観察するのが好きなので」

「へぇー。なんか面白い人いた?」

まさか、こんな話にのってくるとは。

「そうですねぇ、面白い人ではないけど。……じゃあ、あの人。短髪の彼。きっと手慣れてる世話好きだと思う」

「ん?……どういう事?」

「さっきから周りの状況を見て飲み物注文したり場を盛り上げたり、……あっ、今もさり気なく灰皿変えたり。なんかホストって感じ」

「……すげっ。それ当たってるよ?」

「え?」

「あいつ元ホストなんだよ。飲みの席になると昔の接客が抜けてなくていつもあんな感じ」

「へぇ〜 だからあんなに気がきくのか……」

「それ、特技?」

「ん?人間観察ですか?いや、勝手に妄想しているだけなんで…… 」

そんな事、はじめて言われましたけど。

「ねぇ、じゃあ俺は?どんな感じに見える?」

いやいや、観察してないから……ね。

あっ。いや式場で瞬時に判断したっけ?

「え、えっと… クール系から癒し系に変更され、今は気さくな方。……って感じです」

「……く、ふふっ。さっきは的確に当てたのに、俺の結構曖昧だね?」

ニヤッと口角を上げ笑っている。

「だ、だって!っ……」

自分で言いながら、なんか恥ずかしくなり声がだんだん小さくなる。

「まっ、そうだよね?なら、俺を観察してみてよ?」

「え?」

「俺を一日観察してみて?」

「……はぁ?」

きっと、とてつもなく間抜けな顔をしていると思う。
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