いつの間にか、溺愛。
「えー、それでは宴もたけなわという事で。新郎新婦より一言づつ頂いて二次会を終了しま〜す」

すっかり忘れていた本日の主役達。

こちらからは人混みであまり見えないが、マイク越しに声が聞こえてくる。

「本日は、私達2人の……___

旦那様のしっかりとした声が店内に響いている。

あっ、そういえば優香は?

キョロキョロと辺りを見渡すとさっきまでいた席に優香の姿はない。

マジか。

「ん?お友達?」

「あっ… はい。さっきまでそこにいたのに」

「ちょっと待ってて、あいつらに聞いてくる」

そう言うとお友達の輪に入っていった。

事情を聞いてきた蒼くんは少し苦笑いしながら帰ってきて、

「なんかね、さっきいた祐樹覚えてる?あいつとどっか出てったみたい」

「……マジ、ですか。」

「ごめんね?俺もちゃんと見ていれば… 」

「いや、こちらこそ。祐樹さんって方に粗相がなければいいんだけど」

「……粗相?」

「優香、飲むと性格変わるって言うか… すごく絡んでくるので… 大丈夫かなって… 」

「まっ、祐樹も同じ感じだし。お互いいい大人だし?大丈夫だよ、きっと」

「だと、いいんですけど… 」

「だから、車?」

「え?……あ、それもありますけど。今日は飲むつもりなかったので」

プライドにより飲まないだけなんて言えるはずもなく。

「とりあえず、優香ちゃんに連絡してみたら?」

「あっ、そうですよね。携帯……っと… 」

鞄の中から携帯を取り出し開く。

「………あ。」

「ん?どした?」

「……心配ないみたいです。なんか楽しんでいる模様で……」

手に持った携帯画面を彼に見せる。

「あー、楽しんでるねぇ〜これ。心配損だね」

私の携帯の画面には2人で仲良くくっ付いて撮られた写真が送られていた。

『祐樹くんと意気投合したので、
カラオケ行ってくるね〜♡』

と、律儀にメールがきていた。
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