いつの間にか、溺愛。
「送ろうか?」

「……え?」

「だ、だから… 家まで送ろうか?」

どうせ東区を通って帰る訳だし。

もともと優香を送るつもりだったし?

一人で帰るの寂しいし?

なんか私、言い訳してるみたい。

「………俺、ガチで誘われてる?」

「ッ!?違うわ!……もう、じゃあ送らない!」

「ははっ、嘘だって〜。すぐ真に受けるんだから。ならお願いしま〜すっ」

陽気に笑いながらなだめてくる彼は完全に小馬鹿にしている。

私、一応年上よね?

そんな事なんてお構いなく彼のペースに流されている。

駐車場に着き乗車し発進させた。

助手席に男性がいるなんて何年ぶりかしら。

違和感?

といえば違和感なのだが。

それ以前に……

「ねぇ、休みの日は何してんの?」

「うーん。特に何も……」

「じゃあ趣味は?」

「趣味って言われても…… 今は特に……」

「じゃあ、好きな食べ物は?」

「えっと…… 」

「血液型は?」
「実家暮らし?」
「てか、彼氏いないの?」

まぁ、なんともよく喋る。

というより、もはや質問攻めだ。

私の最初の第一印象はどこへやら?

「………ねぇ?聞いてる?」

「聞いてるわよ。てか、そんなにいっぱい聞かれ誰だってこうなるわ!」

「ははっ、まぁそうなるよね〜」

わかってやっていたのか?あざといな。

「私のこと聞いてもなんも面白い事ないよ?」

「えー。面白いよ。てか知りたいし?」

「いや、だから何でよ?」

「え?好きだから?」

「…………はあ?」

「好きな人の事は何でも知りたいだろ?」

「ねぇ…… 酔っ払ってる?大丈夫?もうすぐ着くから寝てていいよ?」

「酔っ払ってない。むしろ酒豪だ。……俺、いま口説いてんだけど?」
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