いつの間にか、溺愛。
堪能に堪能し尽くし、両手に抱えた紙袋。

ずっと欲しかった靴に洋服に…

何とも達成感?いや優越感?

嫌な事は何かで補うことを覚えたのは社会人になってからだろうな。

日も暮れ、時計が19時を指していた。

ぐぅ〜。

お昼ご飯を食べるのも忘れて買い物に集中してたからか、お腹が勢いよく鳴ってしまった。

〜♪

と、同時に携帯の着信。

手にいっぱいの荷物で相手が誰かもわからず電話に出たのがいけなかったのかもしれない…

「もしもし?」

「ごめんっ!本当にごめん!」

後悔先に立たず。

謝罪してくるって事はこれはきっと今日のドタキャンの彼からだろう。

「いえ、大丈夫です」

「怒ってるよね? 本当に申し訳ない。謝罪しかできないんだけど… 今、仕事終わって… とりあえず今どこ?」

「全然気にしてませんからお構いなく」

「俺が構うんだよ、って言える立場じゃないんだけど……で、今どこにいるの?家?」

「別にどこにいても関係ありませんよね?」

「お願い、謝罪させて?顔見て話したい。だからどこにいるか教えて?」

なんかだんだんめんどくさくなってきた…

律儀なのか?真面目なのか。

「……駅。駅ビルの一階にいる」

「そこでちょっと待ってて!」

ツーツーツーと機械音になってしまった。
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