いつの間にか、溺愛。
私に向かって走ってくる人が一名。

「はぁ、はぁ…はぁっ……」

大の大人が息を切らして目の前にきた。

「そんな、走らなくても」

「いや… 誠意を、見せないとって… 思ったん、だけど…… 猛ダッシュは…はぁ、キツイっ……」

「でしょうね?てかよくここってわかりましたね?」

私は駅ビルの一階としか言ってなかったよね?

「電話越しにアナウンスが聞こえたから。はぁ……ここら辺かなって、ね」

ふぅ〜 と深呼吸をして息を整えている。

「本当に今日はすみませんでした。」

深々と頭を下げて謝罪している彼は本当に真面目なんだろう。

「いえ、本当に大丈夫だから… 」

仕事帰りと言っていたからてっきりスーツで来るのかも思っていたけど。

白のシャツに少し細身の黒のパンツ、上からグレーのチェスターコートを羽織ってこの前とはガラリと雰囲気が違う。
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