いつの間にか、溺愛。
「すみません。お言葉に甘えてお願いします」

「どうぞ〜」

なぜかこの人の隣はすごく安心する。

まだ数える程しか会ってないのだけども、波長が合っているというか……

「ねぇ?来週リベンジしていい?」

「ん?何が?」

「デート。本当は映画観に行こうって思ってたんだけどさ… 来週は予定ある?」

「いや、特には…… 」

信号が赤になり車が停まった。

ふっと視線を感じ彼の方を見る。

弧を描いた口角がキュッと上がって妖艶な笑みで私を見ている。

顔が少し近づきその口から言葉を発した。

「来週も暇って事は…… 彼氏はいない?」

何とも綺麗な顔でいやらしい台詞。

吸い込まれそうな瞳に、流暢な言葉。

「………来週も誘ってくるって事は、彼女はいない?」

「……っふ、ふははっ。やっぱ好きだな〜」

私は遊ばれているのか。

彼氏なんかいたら、のこのこデートの約束なんかする訳ないでしょうが。

内心、心臓がドキドキしたけど必死に隠した。

そこからの会話はあまり覚えてない。

「ここで大丈夫?」

「うん。すぐそこだから」

自宅近辺の路地に車を停めてもらった。
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