いつの間にか、溺愛。
映画の上映時間まで少し空いているから、先に昼食をとることにした。

「ねぇ?何が食べたい?」

「……なんでもいい」

「えー、何でもいいから言って?」

「本当に何でもいいのね?……なら、定食が食べたい」

「ははっ、鈴らしい。まさかそこを言われるとは思わなかったな〜 」

「どうせ、今時の女子はパスタとかそんなとこでしょ?悪かったわね、オヤジ化してて」

「そんな事ないって。ならとっておきのお店あるからそこにしよ。ちょっと歩くけど、いい?」

駅ビルから出て、大通りではなく少し道に入ったところに小さな定食屋があった。

「ここ、俺の行きつけの店なんだよね〜」

そりゃ、そうでしょうね?

だって裏には戸高総合病院があるんだから。

「おばちゃ〜ん、今日まだ定食ある〜?」

お店に入るなり大声で中に話しかけている。

余程、常連さんなんだろ。
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