いつの間にか、溺愛。
店内はカウンターしかなく６人ほどしか座れないほど。

主人は優しい雰囲気の老夫婦でお店のメニューも家庭的なものが多い。

今日は休日ともあって店内には誰もお客さんはいなかった。

「いらっしゃい。いつもの定食でいいかい？」

「いつもの２つ、よろしく〜」

テキパキと注文をしカウンターにて待機。

「好き嫌いはある？」

「いや、何でも大丈夫」

中で手際よく料理を作っているおばさんがチラッとこちらをみて声をかけてきた。

「あら、べっぴんさんなんか連れて来ちゃって… 彼女かい？」

「ふっ… だってよ？そうですって言っていい？」

「違いますっ！お友達です！」

「おばちゃ〜ん、俺 いま見事に振られたよ〜」

「蒼ちゃんの推しが弱いのよ。もっと頑張りなさい」

常連さんの域を超えるほどの仲の良さだ。

少し疑問に思いチラッと彼の顔を見ると、

「あぁ、おばちゃんは俺の親戚なんだ」

なるほど。だからこんなに親近感いっぱいなのだろう。

手際よく作られた定食は本当にどれも美味しくてどことなく懐かしい家庭の味だった。
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