いつの間にか、溺愛。
別れ。
どんな事があろうと時間は過ぎて行く。

ない頭で色々と議論してみたものの、昨日の出来事は何も解決しなかった。

こういう時、ある意味、仕事のおかげで少しは気分が紛れそうだ。

私の働いている病院は何ともこじんまりとした歯科医院。

患者さんが少ない時は早く病院閉める事もしばしば、かなり緩くも感じられる病院。

そして気合いを入れてきた今日に限って早く終わってしまった。

せっかくだし、ぶらぶらして帰るか?

とは言っても私は帰宅ルートに唯一あるのは、やっぱり駅ビルで。

先週買い物はしたばっかりだし、昨日も結局内容の覚えてない映画も見たし…

はあ〜 と大きな溜息を着き何もせず帰ろうと方向転換した。

………のが、悪かったのかもしれない。

私の目がおかしくなければ、いま私の目に鮮明に写っているのは昨日の彼。

しかも、隣には…… 女の人。

駅の中だし、少し離れているからこちらには全く気付かず仲睦まじく歩いている。

女性が彼の腕を組むオプション付きで。

なんだ、そういう事か?

本命がいるって訳ね。

お試し期間だなんて本当馬鹿げた話。

だって遊びなら嘘ついたって、ね?

なんだか妙に納得、ストンと心に響いた。

昨日あれだけ悩んだのに、この一瞬で一気に解決。

良かった。本気になる前で。
< 37 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop