いつの間にか、溺愛。
カフェに二人対面して座る。

どうしてこうなったのか。

少し重めな緊張感が漂っているのは確かだ。

「どうしてそんなに俺を避ける?電話もでないし、連絡しても無視するし。俺がドタキャンばかりするから嫌になった?」

「いや、そんなんじゃない」

「確かに俺が言える立場じゃないとは思うけど…… 」

私が引っ掛かってる所はそこじゃない。

「ねぇ?何の仕事しているの?」

「ん?どした?急に… 」

やっぱり言ってはくれないんだ。

「お医者さんなの?」

一瞬、間があったが彼は挙動不振になる事もなく返事が返ってきた。

「.……安子ちゃんから聞いた?」

「何で言ってくれなかったの?」

私、なんでイライラしてるんだろう。

「ごめん」

「私には言わなくてもいい話かもね?彼女もいるみたいだし。昨日、駅ビルで女の人と歩いているのを見かけた」

「….…そっか」

言い訳は……、しないんだね。

て事はあながち正解ってとこかぁ……

「それが避けていた理由」

私が答えても彼は何も言わず黙ったままだった。

これ以上いると惨めになりそうだから席を立ち、軽く彼に会釈をしてお店を出た。

当たり前だが追いかけて来てくれる訳もなく。

ドラマだと、ここで彼が追いかけてきて抱きしめてくれたりするのに。

私のドラマそうそう上手くはいかないみたい。
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