いつの間にか、溺愛。
二人でしんみりと話していると、旦那さんが帰ってきた。

「ただいま〜 おっ!鈴ちゃん、来てたんだね〜」

「来てたんだね〜……っじゃないわよ和也!戸高くん、彼女いるじゃない!このボケっ!」

「え?そうなの?あいつ、俺にはフリーだって言ってたけど… 彼女できたの?」

「できたの?……じゃないわよ!!そのせいで鈴がどんな思いしたと思ってんのよーっ!」

カンカンに激怒の安子に、のほほんと聞いている旦那さん。

これだからうまくいっているのかも、しれない。

さすが夫婦。

それから、これまでの経緯を旦那さんに話した。

キスの話を除いて。

「そっかぁ… そんな事になってたんだね〜」

「あんたがイチオシって言ってたから、私もぐいぐい推しちゃったじゃないの!」

「あはは〜っ でた、安子のお節介〜 」

「ね?一回、殴っていい?」

口の悪い安子にも、ニコニコと穏便な旦那さんはまるで天使のように見えた。

「まぁ、俺が思うにね?きっと蒼は医者だってわざと隠したんだと思うよ?」

「わざと?」

「うん。あいつ、家があれじゃん?ここら辺じゃ有名だから寄ってくる女子の大半が病院目当てでさ。トラウマ的な?最近じゃ『俺の事を好きになってくれる人が欲しい』て女々しく嘆いてたよ」

「そう、なんだぁ… 」

「まっ、これは俺の概見だけどね。あとは、その見かけた女の人がなぁ… 結婚式の前はそんな話してなかったから何とも言えないんだけど…… 」

「もう!肝心な所で使えないな!」

「や、安子っ… ちょっと、もういいって」

「ははっ 鈴ちゃん大丈夫だよ、いつもの事だから」

天使、降臨。

見ててほのぼのしてしまうほどだ。
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