いつの間にか、溺愛。
彼の後を追い着いて行く。

………ん?

彼は私の事、わかってるよね?

気付かない振りでもしているのだろうか?

もしくは本当に忘れたとか?

後ろ姿は正真正銘のお医者さんであって。

え?人違い?

ーーーッドン!

「きゃっ!」

考えながら歩いていたから、前方不注意。

まさかの壁にドン。

胸キュンの壁ドンとはかなり掛け離れている。

「あたたたっ、」

「……っふ、大丈夫ですか?」

「っ!?大丈夫です!お気遣いなく… 」

今、確実に笑いましたよね?

恥ずかしいやら。なんか悔しいやら。

「鈴、元気だった?」

「………へ?」

顔を傾けて優しい眼差しで私の方を覗き込んでいる。

「久しぶり」

「お、ひさしぶり、です… 」

優しい目線で、私を見ている。

頭をポンっと撫でてそのまま何食わぬ顔でまた歩き出した。

くぅ…… なんて罪な男なの。
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