いつの間にか、溺愛。
「じゃ、あそこの窓口で手続きを」

「わかりました。ありがとうございます」

「…… 」

「ん?何でしょうか?」

「いや。なんか余所余所しいな、ってね」

「それは…… 一応ここは病院ですし」

「病院じゃなかったら?」

「はぁ?」

くくっ、と喉を鳴らしながら笑っている。

何を呑気に笑っているのだろうか。

と、次の瞬間、彼の顔が一瞬で近づいてきて私の耳元で囁いた。

「また会えて、すっごい嬉しい」

「ッ!?」

「あ、顔が赤くなった」

「ちょ、ちょっと! ….…からかわないでください」

終始ニヤニヤしている顔が離れていき、彼は「またね」と言い残して行ってしまった。

本当、何なのよ。

こっちは必死で忘れようとお酒の力も借りて頑張ってんのに。

会ったら、やっぱり気持ちが勝る。

今、心拍数が上がっているのが自分でもわかるほど。
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