いつの間にか、溺愛。
「もう…… なんで毎回いるのよ… 」

「うふふ、鈴の事が好きなんじゃないの〜?」

病院からの帰り道、母がまた突拍子もないことを言い出した。

「大丈夫。それは絶対ないから」

「あら、この世に絶対なんてないわよ〜 」

いや、だって、彼には彼女がいるんだから。

……なんて思い出しただけで虚しい。

「先生ね、わざわざ鈴に会いたくて待ってんのよ?」

「……え?」

「なんか詳しくは教えてくれなかったんだけど。先生、鈴のこと知ってたみたいなのよね〜 」

「あぁ、今更だけど実は先生とは安子の結婚式で会った事あるの。だから顔見知りってとこ…… かな」

「えーっ!?そうなの!?もう、そんな事なら早く教えててよ〜 」

「もう、会う事ないと思っていたし…… 」

「ははぁ〜ん?なんか訳ありのようね?まっ、悩みなさい、そしていい恋しなさい!私みたいにね?」

「一応、参考にします…… 」

父と母はこの歳になっても大の仲良しだ。

二人で私を置いて旅行なんかしょっちゅうある。

小さい頃から「たくさん恋愛して、たくさん愛されなさい」と子供ながらに教わってきた。

女は愛されてなんぼよ!なんて親が言うことなのか?と思春期にはよく思ったが。
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