いつの間にか、溺愛。
「ちょ、ちょっと待って……ってば!」

「はいはい。理由はちゃんと説明するからね〜 もう少し歩いてね〜」

わけもわからず掴まれ、またもやどこかへ連れて行かれている。

おもむろに入った部屋は、先程よりもだいぶ広い部屋で机と椅子が並んでおり、俗に言う会議室ってとこだろうか?

入ったや否や、鍵をしっかりと閉めこの部屋にいるのは私と彼の二人きり。

「はあ… やっと解放された… 」

「それは、こっちの台詞よ」

大広間ともあって、しーんと静まり返った部屋に2人の声は響いた。

「俺は早く鈴と2人きりになりたかった」

「話が全然見えないんだけど… えっと…… その、彼女はいいの?」

「あぁ… あれは彼女じゃないから」

「はあ?」

「梨花は、あいつは兄貴の彼女だよ」

「……はぁ!?」

「まっ、そうなるよね〜」

呑気にあはは〜と笑っている彼は何だか妙に楽しそうに見える。
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