いつの間にか、溺愛。
スルリと進入してきた唇の感触に身動き取れず、息もままならない。

「鈴っ__」

「っ…」

「やべ、止まんねー」

そう言う彼の言葉とは裏腹に、ただただ優しく、甘く翻弄していく。

「……っ、」

「ふっ、鈴 ちゃんと息してる?」

「……いや、久しぶりすぎて」

ご無沙汰のキスは私には強烈すぎた。

「こんなんでお手上げされてちゃ、困るんだけどな〜?」

「すみませんね、下手くそで」

「くくっ そういう意味じゃないんだけどなぁ… 」

「ん?」

「こういうことっ… よっいしょ!」

「きゃっ!?」

膝に乗っていた私をいとも簡単に抱っこして…

いやどちらかと言えば担がれた。

「ちょっと!重いから降ろして!」

「重くないし。むしろ俺的にはもう少し肉付きが良くてもいいくらいだけど?」

なぜだか上機嫌な彼からは鼻歌が聞こえる。

そのまま部屋から部屋へ移動し、着いたところは寝室。

私だっていい歳した大人だから、ここにくればどうなるかは私でもわかる。

さっきまでの威勢はどこへやら?ってほどに冷静になった私を優しくベットに降ろした。
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