いつの間にか、溺愛。
「……急に大人しくなった」

「っ!?」

「大丈夫。今日は何もしないよ?鈴が嫌がることは絶対にしないから」

「……っえ?」

「隣にいるだけで俺は充分。だけど、鈴がして欲しいことは何でもしてあげる。何してほしい?」

やたら甘い声でこれでもかってほどの甘い言葉。

あんなキスされて彼は至って冷静なんだけど、私の方が理性というもののスイッチが壊れかけている。

正直、恥ずかしさと緊張と不安と……

だけどそれよりも彼に触りたいし触られたい気持ちの方が愕然に勝っている。

だいぶ重症?

欲求不満か。

それをまるで知ってるかのように、彼はただ私の顔を妖艶な笑みで見ている。

「……ズルい。なんか私ばっか好きみたい… 」

「……え、」

小声ながらも、不貞腐れながら言った私の小言。

それに何故か彼はキョトンとして私を見ている。

「え、ぇえっ!?鈴、今なんて言った?ね、もう一回言って?」

前のめりになりながら私の方に耳を傾けている。

「あ、えっと… な、なんか私ばっかり好きみたいで、嫌だな〜って……

___ギュッ

そのまま思いっきり引き寄せられて抱きしめられた。
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