くもり時々はれ
この季節特有のまだひんやりする風と、期待やら不安やらを感じるこの空気。
わたしも例外ではなく、ちょっとドキドキしてたりする。
ここからなにがはじまるかまだわからないけど、今日のこの青空を信じて、私は前を向いた。
ここ、城南高校はいわゆる進学校の一歩手前みたいな学校。まだ新しいこの学校は『文武両道』をモットーに入部率99%という高い数字とこの辺ではちょっと上の方の学力が売りだ。
だか、これといってひとつ飛び抜けていい部活もなければ、東大に行くような人もいない。
そう、ふつうの学校。
ふふ、わたしにぴったり。
この情報を仕入れてから、わたしはこの学校に相応しいのはもしかしたらわたしが一番かもとさえ思った。
これといって特技もなく、趣味もない、勉強も運動も真ん中かちょっと上ぐらい。
顔も、二重まぶたに親譲りの茶色い瞳。髪も親譲りで茶色いけどなんの自慢にもならない。
名前だって、山上梨奈ってほんとどこにでもいそう。
そんなわたしの毎日もふつうで、まるで面白みもないし、正直飽きていた。