くもり時々はれ



入学式も終わって、みんな写真を撮ったり、友だちとしゃべったりしていた。

パコーン、パコーン

どっからか、そんな音が聞こえて思わずそっちを見た。


うわ、かっこいい…。

一目見ただけでそう思ってしまうほどわたしは心を一瞬にして持っていかれた。


あとから思えば、このときからわたしは彼にハマってたのかもしれない。


「あ、テニス部だ!!」

「有名なの?」

「今まではそうでもなかったんだけど、私たちの一個上の先輩がすごいらしいの!」

「そうなの!見にいってみよ!」


そんな声がちらほら聞こえて、みんなテニスコートに向かうのを、わたしは逆らうこともせず、引き寄せられるように行った。

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