しょうがないから好きになってあげる!
ある日、彼女は図書室にいなかった。
今日は休みなのかと少しがっかりして教室に戻ろうとすると声をかけられた。
「あの、もう戻るの?」
花だった。
声も想像どおり透明で耳ざわりのいいかわいらしい声だった。
「あー……まだ、かな。」
彼女がかわいすぎて照れてテンパってよくわからない返事をした。
初めて話したのにこれじゃ変な人決定だ…
「最近いつも来てるよね?本、好きなの?」
「……た、たまに読むだけ」
毎日図書室に来てるくせに“たまに”ってなんだよ!とか自分にツッコミながらおどおどしてしまう俺。
かっこわりー。
「そっか!今日は読むの?」
「ふふふ」とかわいらしく笑いながら俺のダメダメな返事に呆れず話を続けてくれる。
「今日は、読むかな。」
「じゃあ、行こう!」
俺の袖をキュッと引っぱって図書室の中に誘導する彼女。
その小さくてかわいらしい手は心配するくらい真っ白で細い。
そのときの俺はただやせているだけだろうと思っていた。