しょうがないから好きになってあげる!
ふたりは無言で夕日を見ていた。
そろそろ沈みそうになっているが。
先に口を開いたのは花だった。
そして、そのとき花がいう言葉こそ、俺が最低な返事をしてしまう原因だった。
『死ぬのかな。』
その花の弱気な言葉とか細い声に苛立った。
《死》という最悪の結末を今から予期していた彼女に。
今の健康的とは言い難い花の青白く、細くなった手足や顔が《死》を更にリアルにする。
俺は何が何だかわからなくなった。
死ぬとか余計なことを考えている花への苛立ちと、もし花がいなくなったらという不安で前頭葉と頭頂葉が一気に破壊された感覚に陥る。
思考が停止し感覚もなくなり理性が全て吹っ飛んだ。
そして聞こえるか聞こえないかわからないような声で、
「そうだな。」