しょうがないから好きになってあげる!
『ほへー、要くんって言うんだ……なんか、すごく重要な人って感じ。かっこいい名前ね!』
初めて会った日、俺の名前を教えたときに花が言ってくれたな。
カナメなんてthe男みたいな名前じゃなくて少し恥ずかしいときもあるが、こんなふうに褒められて自分の名前が好きになったんだよな。
『ちょっと要くん!ご飯には梅干しがいっちばん合うに決まってるでしょう?海苔なんて邪道よ邪道!!』
朝ごはんに海苔巻いてご飯食べてきたっていう話をしたらキレられて梅干しゴリ押しされたんだよな。
実はそこまで梅干しが好きじゃなかった俺も花のおすすめの梅干しを食べて好きになったんだよな。
『今日は何の本を読むの?私はこれ!!!今すっごい私の中でキテる本!じゃじゃーん!!!〈現実とはを考えること〉!超おすすめよ!筆者の考え方が常人には思いつかないものなの!気づかされることばっかりだよ〜』
いつも思っているが花の読む本は難しい評論の本で俺が読んでも筆者の言いたい事がさっぱりなもんだ。
この時はさすがに断ったんだよな。
『あ、見て。あの雲!ハートのクッキーみたいで美味しそう……』
ふわふわ真っ白な雲を見てクッキーみたいと言う花に俺は関心したんだよな。
だって、ふわふわで真っ白なんだぜ?
クッキーはサクサクでこんがりいい焼き色が付いている。
俺には普通の雲にしか見えないのに花にはクッキーに見えるのだ。
その後からはもちろん雲を見たりそのへんに生えている草花などを見たりしては何に見えるだろうかなんて、常人には思いつかないような答えを考えようと道で突っ立っていて横を通る人にヒソヒソと変な人を見るような目で見られたものだ。