しょうがないから好きになってあげる!
「ハァハァハァハァッ」
朝通ってなんとか覚えていた道を通り、昇降口に着いた私は来てから後悔する。
荷物を全て置いてきてしまった。
「はぁ。」
なんてことだ。
これでは、迎えも呼べない。
戻るしかないのか。
腕時計を見ると授業の始まる時間はとっくに過ぎていたことに気づく。
始まるぎりぎり前に走り出し、走っている間は無我夢中でチャイムの音にすら気づかなかった。
職員室の電話でも借りようかしら。
そう思って立ち上がると足音が聞こえた。
走っている足音。
そして
「るいちゃーん!どこー?!」
「返事してー!!」
伊藤風花、瀬戸京太郎………
あなたたちそんなにわたくしとお友達になりたくて?
あんなに冷たくしたのに、まだこんなわたくしのお友達になりたいと言うの?
あなたたちにとってもひどいこど言ったのにまだお友達になりたいと思っているの?
……そう。
いいわ。
「「るいちゃん!」」
本当にバカね………わたくしったら。
こんなバカに期待したくなってしまった。
こんなバカ正直なあなたたちと『友達』になりたいと思ってしまった。
るいも、バカの仲間入りね。
「探したよどこ行っ……」
「るいちゃん……?」
ふたりは私の顔を見て驚いている。
なぜって?
だって私が笑っていたから。
自然な笑顔を……
久しぶりね。
勝手に笑顔になれるのなんて………
あなたたちに少し期待するわ。
「伊藤風花、瀬戸京太郎……あなたたちをわたくしのお友達にしてあげてもよくてよ!」