しょうがないから好きになってあげる!



ピンポーン───



「……」


みんな緊張しているのか口を開こうとする人はいない。
そして、インターホンを押したものの家の中からは人が出てくる気配がない。
もしかして、いないのかも。

また明日出直そう……



「あの…うちに何か用ですか?」



振り返ると買い物の後なのか何かが入ったビニール袋を片手に持ってもう片方の手では小さなカバンを腕にかけている、お母さんと言うには少し老けた女の人が立っていた。声は弱々しく、普通よりクマもひどく目の下が黒くなっている。

──花さんのお母さん──

会ったことないはずのるいたちにも直感的にわかっていると思う。


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