ヒカリのように
陽炎
桐月 昴
「え?みんないないの?」
ある休日の昼下がり。
「……あぁ。
佑は親のところへ行ってて、凪は弟の面倒。
陸は家族で出かけてるらしい」
ここへきて、わかったことがいくつかある。
「そっか」
昴と佑はここ、倉庫で寝泊まりしている。
そして凪には弟が2人いて、陸はサバサバしている。
……というか、今日は昴と2人?
「…………帰るなら送るけど」
昴はそう言ってバイクの鍵を手にした。
え……
「なんで帰るの?」
昴と2人きりだからって帰る理由にはならないでしょう。
「…………俺といてもつまんないだろ」
面白いこととか言えないし。と昴。
…まぁ確かに、口数少ないし面白いことは何も言わないけど。
「つまんなくないよ」
一人でいる時よりよっぽどまし。
それに、昴といると無理に喋らなくていいしね。
みんなといるとき無理に喋ってるってわけじゃないけど…
「……そうか」
「うん」
昴は眠くなったのか、あの大きなソファに座り目を閉じた。
私も、いつもは他のみんなが座っているソファに座った。
みんながいる時は、凪の隣が空いてるからそこに座ってるけど、たまには違うところへ座ってみた。
………そう言えば、昴っていつからここにいるんだろう。
…………倉庫で寝泊まりしているっていうのも少し気になる。
家族は………?
訳ありだろうか。
そんなことを考えながらじっと昴を見ていると、急に昴の目が開いた。
「……おはよ」
「……寝れねぇだろ、そんな見られちゃ」
ああごめん。
「じゃ、寝なくていいよ」
そんな昴に少し笑いながら言った。