10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
「藍…渡したいものがあるんだ」
「え?」
自然と離れた体。ショルダーバッグの中を漁る春兄の手元をじっと見ていた。
そして取り出されたのは、細長い箱に赤いリボンでラッピングされたものだった。それを私に差し出すが、すぐに何かを思いついたように春兄がラッピングを外していく。
「藍、上着のボタンとって」
反射的に春兄の上着に手を掛けようとした私を言葉で制す。
「俺のじゃなくて、藍の上着」
「あっ」
…なんというミス。恥ずかしい。
言われた通りボタンを外していく。首元にファーがついていたから、ボタンを外したことで首元が露わになり、冷たい風が当たった。
春兄は私の後ろに来て首に腕を回す。バックハグのようなシチュエーションに心拍数が上がりながらも、首元に感じたひんやりとした冷たさを不思議に思う。
目の前に戻って来た春兄は私の首元を見るなり『うん、似合う』と口にした。
もしかして…
咄嗟にカバンから手鏡を取り出す。映し出されたのは、深いブルーの石が嵌め込まれたネックレスだった。
パッと顔を上げると、優しく笑う春兄と目が合った。
「クリスマスプレゼント」
「春兄…」
私、こんなに愛されてて、こんなに幸せでいいのかな。美味しいディナー、見たことない景色、大好きな人からのプレゼント、そして大好きな春兄。
このクルーズ船に乗っている人の中で絶対私が一番の幸せ者だ。
「春兄ありがとう!」
大きな体に飛び込んだ。私の背中に回される春兄の腕。包み込まれるような感覚に安心する。春兄の鼓動と体温が伝わってくる。
「藍…あのさ」
抱きしめられたまま、春兄の声が上から降って来た。
「ん?」
「…」
なかなか言葉を発しない春兄を不思議に思い、少し体から離れて見あげようとしたが、ギュッと力を入れられそれができなくなった。
「は、春兄?」
「俺…さ、もう藍の"お兄ちゃん"じゃないよね」
「え?う、うん」
今は正真正銘の恋人同士だ。でも急にどうしたのだろう。
「え?」
自然と離れた体。ショルダーバッグの中を漁る春兄の手元をじっと見ていた。
そして取り出されたのは、細長い箱に赤いリボンでラッピングされたものだった。それを私に差し出すが、すぐに何かを思いついたように春兄がラッピングを外していく。
「藍、上着のボタンとって」
反射的に春兄の上着に手を掛けようとした私を言葉で制す。
「俺のじゃなくて、藍の上着」
「あっ」
…なんというミス。恥ずかしい。
言われた通りボタンを外していく。首元にファーがついていたから、ボタンを外したことで首元が露わになり、冷たい風が当たった。
春兄は私の後ろに来て首に腕を回す。バックハグのようなシチュエーションに心拍数が上がりながらも、首元に感じたひんやりとした冷たさを不思議に思う。
目の前に戻って来た春兄は私の首元を見るなり『うん、似合う』と口にした。
もしかして…
咄嗟にカバンから手鏡を取り出す。映し出されたのは、深いブルーの石が嵌め込まれたネックレスだった。
パッと顔を上げると、優しく笑う春兄と目が合った。
「クリスマスプレゼント」
「春兄…」
私、こんなに愛されてて、こんなに幸せでいいのかな。美味しいディナー、見たことない景色、大好きな人からのプレゼント、そして大好きな春兄。
このクルーズ船に乗っている人の中で絶対私が一番の幸せ者だ。
「春兄ありがとう!」
大きな体に飛び込んだ。私の背中に回される春兄の腕。包み込まれるような感覚に安心する。春兄の鼓動と体温が伝わってくる。
「藍…あのさ」
抱きしめられたまま、春兄の声が上から降って来た。
「ん?」
「…」
なかなか言葉を発しない春兄を不思議に思い、少し体から離れて見あげようとしたが、ギュッと力を入れられそれができなくなった。
「は、春兄?」
「俺…さ、もう藍の"お兄ちゃん"じゃないよね」
「え?う、うん」
今は正真正銘の恋人同士だ。でも急にどうしたのだろう。