10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
「うん、その山下さん」


「何?どうかした?」


うぅ…タダでは教えてはくれなそうな気がする。


「あ、いや、なんか怖そうなイメージだからさ、実際のところどうなんだろうな〜って思って」


「…」


春兄は無言になり、お茶の入ったコップを持ち一口飲んだ。


も、もしかして…かなりヤバい人なのかな!?


私、そんな人と連絡取り合っているの!?




「…気になるの?あいつのこと」


気になるって言葉を一括りにするとそうなるのだけれど、意味合いが違う。私はただ人間性を問いたいのだ。


「あ、別に好きとかじゃないよ!?全然!!全く!!」


おかしな誤解をしていそうで慌てて否定した。


「当たり前だろ、好きになられたら困る」


真面目な顔で言うものだから、少し恥ずかしくなった。そうだ、春兄は私の彼氏で…


「それは絶対、ないので、はい」


どうしてか正座になっている私。春兄はやっといつもの優しい笑顔を見せてくれた。


春兄ってもしかして、嫉妬深い??


…か、可愛い。



「山下とは大学も違うし、元々木下と仲が良くて、それ繋がりで俺も知り合ったくらいで詳しいことはわからないけど、悪いやつじゃないよ?口数少ないしあの見た目だから初対面の人にはかなり警戒されるらしいけどな」


なんだ、大学は違うんだ。悪い人ではないなら大丈夫そうかな?


「へ〜そりゃあの外見だもんね、私も初めての時はビクビクしたよ。木下さんがあんな感じだからよかったものの、山下さんが一人で来た時なんてどうすればいいかわからなかった」


「え?山下が一人で?」


あ、ヤバい!!うっかり口を外してしまった!!あの山下さんが一人でドーナツを買いに来るなんて春兄も不審に思うはずだ。


「い、意外だよね、一人で買いに来るほどドーナツ好きなんて。だからびっくりちゃった」


本人は"普通"と言っていたけれど、あれはきっと照れ隠しだ。


「…へぇ」


そのあと何かを考え込むような素振りを見せた。もしかして、何かを疑っている…?
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